会社は黒字でも倒産する可能性がある事を知っていますか?
利益があるという「黒字」という言葉ですが、企業の会計において「黒字倒産」という言葉があります。
利益が上がっていても、資金繰りに問題があるとお金が無くなってしまい
「勘定合って銭足らず」
という状況になってしまいます。
簡単に解説すると、企業の会計は
【売上 ー 経費 = 利益】
となるのですが、まず売り上げの元となる商品の材料を仕入れるための「経費」が先に発生し、売り上げのお金は後から入ってくるというのが一般的な流れです。
そのため、しっかり売り上げがあってもお金が入ってくるタイミングが後になれば、【資金不足】という状況になってしまいます。
そうした点から、今回は会社がいくらぐらい「現預金」を持っていれば安心なのかについて考えてみます。
目次
資金(お金)はどこから調達する?
会社の活動における「原資」となる資金は、以下のような事から調達をします。
◇お客様から売り上げ代金をもらう
◇金融機関から借入金などで借りる
◇株式を発行して資金を調達する
ただし、株式を発行して資金を調達するという事は少し特殊であるため、今回は「お客様からの売り上げ代金」と「金融機関からの借り入れ」という点に絞って考えていきます。
金融機関から借りるというと「借金」というイメージからマイナスな感じに思いますが、仕入れ代金などを先に払う必要があるという点から「つなぎ資金」という意味でお金を借りる事が多くあります。
借金というとマイナスな気がしますが、決してそれだけではなく「資金繰り」という点からとても重要な手段の一つになります。
会社の現預金はいくらあれば大丈夫なのか
会社の資金はどれぐらいあれば大丈夫かという事において、専門的な財務指標に「現預金月商比率」という物があります。
売上高より現預金が多ければこの比率が1より大きくなるというもので、
現預金残高 ÷ 1カ月の売上高 = 現預金月商比率
となり、月商の1.5ヶ月~3ヶ月ほど確保できているのが良いと言われています。
ちなみになぜ「1.5ヶ月~3ヶ月」と言われているかというと、売上(収益)を発生させるための費用(販売管理費)を支払うための金額となります。
収益を得るためにはまずは「費用」(販売管理費)が必要となるため、それらの資金という点で1.5ヶ月~3ヶ月という指標となります。
月商だけでなく販売管理費の額に注目
「現預金月商比率」では【売上高】に注目すると紹介しましたが、まずは費用となる「販売管理費」の額にも注目する必要があります。
販売管理費とは正しくは「販売費及び一般管理費」と言われていて、商品の製造や販売にかかった費用のうち販売活動に必要な費用や会社の管理活動にかかる費用をいいます。
具体的には
◇給与・賞与
◇福利厚生費
◇広告宣伝費
◇接待交際費
◇旅費交通費
◇通信費 など
といった費用が該当します。
先ほど「収益を発生させるために、まずは販売管理費の支払いが先にくる」という説明をしましたが、そういった点から「販売管理費」の額を把握しておくことは重要です。
と思っていても、販売管理費の額がとても多ければ資金繰りは安全とは言えません。
売り上げ高だけでなく、販売管理費にも注目して必要な資金を考える事が必要となります。
販売管理費の変動額に注目する
毎月の売上高は季節変動や様々な要因で変動する事が多いです。
それと比べて「販売管理費」については固定費的な内容も多く、毎月の変動を予測したりコントロールしやすい特徴があります。
毎月の販売管理費の額を確認し、大きく変動がある科目については内容を調べて「本当に必要な支出」であったかを確認します。
また、固定費的な要因の強い
◇保険料
◇賃借料
◇通信費
◇消耗品費
といった部分については見直しによって大きな効果が出る事があります。
「保険料」や「賃借料」といった部分については、過去の内容をそのまま継続しているパターンも多いですが、他社比較や金額交渉により安くなる可能性が高いです。
今まで当たり前と思って毎月支払いをしていたとしても、ちょっとした行動で費用を抑えられることがありますので、定期的に見直しをしてみましょう。
毎月の「固定費」を下げる事が出来れば、翌月以降もコスト削減効果は続いていきます。
そうして「販売管理費」の額を減らすことで資金的な余裕が出てきますし、削減できた分を「広告宣伝費」や「福利厚生費」など、将来の売り上げに繋がる支出へ投資的観点で使っていくという事もとても効果的です。
販売管理費の変動額と中身に注目してみましょう。
資金を良いサイクルで回していこう
現預金残高がいくらあったとしても、企業が事業を続けるためにそれらを回していく必要があります。
ポイント
現預金 → 支払 → 在庫 → 売上 → 現金回収
といったサイクルを回しながら、現預金や売上高を増やしていく事が重要です。
ただ「現預金」の額を見るのではなく、それらがしっかり循環しているかという点にも注目していきましょう。
また、「売上」をあげるために「仕入」をする際に資金が足りなかった時に有効なのが「借り入れ」になります。
運転資金のために金融機関から借り入れを行う事でサイクルを回すための一歩を踏み出せるという事から、企業において「借入」で資金を用意するという事が行われています。
刻一刻と変化していく時代においてビジネスチャンスを逃さないという点からも、借入も計画しながら現預金残高を把握していきましょう。
企業の「現預金残高」まとめ
今回は企業において「現預金残高」がどれくらい必要なのかについて解説しました。
私たちの私生活では「借金」というとあまり良いイメージではないですが、企業においてはビジネスを広げるための資金調達という点からとても重要になります。
「現預金月商比率」という指標で現預金の必要な目安が把握できますが、売上高だけでなく「販売管理費」にも注目して現預金を管理していきましょう。
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