働き方

これで納得!「算定基礎届」についてのポイントを解説

経理の仕事で、社会保険料の計算に関する「算定基礎届」の提出が7月にあります。

 

経理をしている人以外はあまりなじみのない「算定基礎届」ですが、毎月給与明細で引かれている健康保険料などの「社会保険料」を計算する大切なものです。

 

今回は経理初心者や経理以外の人でも自分の社会保険料がどのように計算される仕組みなのかについて、分かりやすく解説していきます。

 

算定基礎届とは

「算定基礎届」とは、健康保険の保険給付金の決定や保険料の計算の基礎となる標準報酬月額を決定するための大切な届け出となります。

 

算定基礎届を提出する時期は、原則として7月1日~7月10日までに提出します。

 

ちなにみ「標準報酬月額」とはわかりやすく解説すると、毎月貰っている給与の額を金額毎に分けられた等級表に当てはめて、その表から標準報酬月額を決定します。

報酬には

◇基本給

◇役職手当

◇通勤費

◇時間外労働手当

など、基本給以外の手当の部分も含めた額となります。

 

それらの標準報酬月額により社会保険料の額が決まってくる仕組みとなっています。

 

そういった点から「算定基礎届」により実際にもらっている報酬(給与)と既に決定されている標準報酬月額が大きく違わないように、毎年9月に標準報酬月額が見直されることになっています。

 

新たに決定された「標準報酬月額」は、受け取る報酬(給与)に大きな変化がない限り、翌年の9月まで適用されます。

 

昇給とか忙しい時の残業代などで給与が大きく変わった時はどうするの?

 

昇給や手当などにより報酬(給与)が大きく変わった時には、9月の改定を待たずに「月額変更届」を提出し、標準報酬月額の改定を行う「随時改定」があります。

 

ポイント

1年間の「標準報酬月額」は毎月9月に決定するが、報酬が大きく変わる時は随時改定する

 

算定基礎届の対象期間

7月に提出する「算定基礎届」に記入する報酬は、4月・5月・6月に支払われた報酬が対象となります。

 

給与の締め日や支払い日は会社によって様々ですが、支払日のある月の報酬で計算します。

 

例えば月末締めで翌月10日に支払うような場合では、10日に支払ったタイミングの月に報酬額を記入します。

 

また、お金以外に「物」などで支払ったような「現物給与」なども計算に含めます。

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ポイント

算定基礎届は、4月・5月・6月に払われた報酬(給与)が対象となる

 

算定基礎届の対象者

算定基礎届の対象者は7月1日時点で在籍している全被保険者が対象となります。

 

ただし、以下のいずれかに該当する人は提出が不要です。

◇6月1日以降に資格を取得した(社会保険に入った)人

◇6月30日以前に退職した人

◇7月改定の「月額変更届」を提出する人

 

7月改定の月額変更届ですが、4月に昇給などがあり、4月~6月に支払われた報酬の平均と現在の標準報酬月額に大きな差がある場合は7月に「月額変更届」を提出するようになります。

 

そのため算定基礎届の提出は必要なくなります。

 

支給基礎日数に注意

算定基礎届では、報酬を計算する基礎となった「支払基礎日数」に注意が必要です。

 

算定基礎届で届け出する報酬月額は、支払基礎日数が17日以上あるものに限られます。

 

支払基礎日数は、給与形態によって数え方が違ってくるため、注意が必要です。

 

①月給で欠勤控除が無い場合

月給の給与形態で、欠勤控除などが無かった場合はその月の日数となります。

 

例えば末締めの給与形態の場合、5月で考えると5月1日~5月31日となり、支払基礎日数は「31日」になります。

 

ポイント

(欠勤無し)支払基礎日数 = 暦日数

 

②月給で欠勤控除がある場合

月給の給与形態で、欠勤控除があった場合は所定の労働日数から欠勤した日数を引いた日数となります。

 

例えば末締めで5月に3日欠勤した場合では、会社の規定で21日出勤日となっていれば、「21日-3日=18日」が支払基礎日数となります。

 

欠勤があるかないかで、基となる日数の考え方が変わるので注意が必要です。

 

ポイント

(欠勤あり)所定労働日数 - 欠勤日 = 支払基礎日数

 

③日給制・時間給制の場合

日給制や時間給制の場合には、支払基礎日数はその月に実際に出勤した日数となります。

 

こちらは実際の出勤数なので、考え方はシンプルです。

 

ポイント

(日給・時間給の場合)支払基礎日数 = 実際に出勤した日数

 

④パートタイム労働者の場合

パートタイム労働者については、3カ月の支払基礎日数が17日未満であっても、15日以上ある月があればその月のみで平均額を出すこととなっています。

 

支払基礎日数が3ヶ月とも15日未満の場合は、従前の標準報酬月額で決定されます。

 

今回説明しているパートタイム労働者とは「1週間の所定労働時」及び「1カ月の所定労働に数」が、その事業所の通常の労働者の4分の3以上である人の事を指します。

 

ただし、4分の3未満であっても以下の条件を全て満たす場合は「短時間労働者」として取り扱います。

 

ポイント

◇週の所定労働時間が20時間以上

◇1年以上の雇用見込みがある

◇月の給料が8万8000円以上

◇学生でない

 

短時間労働者においては、支払基礎日数が3ヶ月とも11日未満の場合は、従前の標準報酬月額で決定されます。

 

新保険料の適用のタイミング

算定基礎届により新しい社会保険料が適用されるタイミングは「9月分」からとなります。

 

ただし、会社によって社会保険料の控除月が異なっているため、注意が必要です。

 

社会保険料は「当月分を翌月末納付」となるため、9月分の社会保険料は10月末までに納付となります。

 

そのため

(9月分保険料を9月に支給する給与から控除) ・・・9月支給分から変更

(9月分保険料を10月に支給する給与から控除)・・・10月支給分から変更

と会社によってタイミングが異なってきます。

 

自分の会社では社会保険料がどのタイミングで控除されているかしっかり確認しましょう。

 

算定基礎届まとめ

今回は社会保険料の金額を決定する「算定基礎届」について解説しました。

 

自分の社会保険料がどのように計算されて給与から引かれているのかを理解すると、社会保険の仕組みが何となく見えてきます。

 

また、総務経理の方で実際に算定基礎届の手続きをされている方は、年に一度の業務となるため毎年思い出しながらの作業になるかと思います。

 

ポイントとしては「支払基礎日数」が少し複雑なので、その点を注意していきましょう。

 

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